腹部を用いた慣用句があまりにも多いので、このシリーズもまだまだ続きます。
終わりが見えないので、慣用句を取り上げる頻度を上げていこうかなと思うほどです。
では、今日ご紹介する慣用句は、「腹が居る」です。「はらが、いる」と読みます。
怒りがおさまる。気が済む。胸が静まる。(goo辞書より)
怒りがおさまる。気が晴れる。(学研全訳古語辞典より)
古語辞典に出てきたり、「〜〜が居る」という言い方も現代ではしないと思うので、慣用句といってもおそらく今は使われていないものと思われます。
前にご紹介した慣用句でも、そもそもお腹に怒りがあった前提で感情の変化を表現しているものがありました。
怒りという感情そのものは、私は決して悪いものとは思っていません。何かに対して怒りを感じた時は、自分の正義感がむくむくと湧いた時だと思うのですね。もちろん、正義も度を超えると刃になりますし、自分の常識は他人の非常識ともいわれますから、湧いた正義も絶対的なものではありません。
とはいえ、自分が何を大事にしているのかという価値観が客観的にわかる瞬間でもあると思うのです。
ただ、いつまでもそれを解消せずにいると、ずっとお腹に中にためてしまいます。
お腹に黒いものを抱えてしまうと、悶々として身体にも影響が出てしまうのは想像つくのではないでしょうか。
さて、この「腹が居る」は古語辞典に掲載されていると書きました。一体いつからこの慣用句が使われていたのか、例文から見ていきますね。
[出典]平家物語 九・生ずきの沙汰
「梶原(かぢはら)、この詞(ことば)にはらがゐて」
[訳] 梶原は、この(=高綱の)言葉で怒りがおさまって (学研全訳古語辞典より)
有名な「平家物語」で使われています。改めて、「平家物語」を紐解くと、
鎌倉時代の軍記物語。流布本は12巻に灌頂巻 (かんじょうのまき) を加えたもの。信濃前司行長 (しなののぜんじゆきなが) が作ったと徒然草にはあるが、作者・成立年ともに未詳。治承〜寿永期(1177〜1184)の動乱を、平家一門の興亡を中心にとらえ、仏教的無常観を基調に流麗な和漢混交文で描いた叙事詩風の作品。平曲として琵琶法師によって語られ、後世の文学に大きな影響を与えた。治承物語。平語。(goo辞書より)
鎌倉時代……!!!
感情をコントロールするホルモンは腸内で作られます。
おなかと感情が密にかかわっていることは、解剖学や生理学を学ばずしても、昔の人は感覚として理解されていたのでしょうか。
あなたも怒りがわいたときに、おなかをさわって癒してあげてくださいね。
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