「フレイル」ってご存じですか。「健康」と「介護」の中間を「フレイル」といいます。加齢とともに心身の活動や認知機能が低下する一方で、適切なサポートがあれば生活機能の向上が可能な状態を指します。
高齢になったからいきなり明日から介護が必要になるってことはなくて、みんなこの過程を踏んでいます。例えば転倒して骨折、そこから寝たきりになるとしても、転倒リスクがある状態を放置しているのと、バランス感覚を養って転倒リスクを下げる努力をするのとで、その後の人生が大きく変わるんですね。
腸活の三本柱は「栄養・運動・休養」です。国が掲げている健康の三本柱も同じです。ということで、このブログでは「運動」に焦点をあて、なるべく要介護状態にならないようにできるフレイル予防をご紹介します。
関西医療大学大学院 保健医療学研究科 研究科長・鈴木俊明先生のお話しをもとに、私の10年間の介護予防運動指導員経験談も交えてお伝えしますね。
フレイルの種類と基準
健康な状態と要介護状態の中間を「フレイル」といいますが、大きく分けて3つの種類があります。とはいえ、どれもが少しずつ関連しているので、パキッと3つのどれかだけに分けることはありません。
- 身体的フレイル(移動機能が低下するロコモティブシンドロームや、筋力が衰えるサルコペニアもここに含まれます)
- 精神・心理的フレイル(孤独感、うつ等)
- 社会的フレイル(人との関わり、経済的困窮等)
フレイルの基準
以下のチェック項目を見ていただき、3つ以上当てはまればフレイル状態であるといわれています。
- 体重減少(意図しない年間4~5キロ又は5%以上の体重減少)
- 疲れやすい(何をするにも面倒だと、週3~4日感じる)
- 歩行速度の低下
- 握力低下(握力だけでも身体機能の評価に繋がるんです!)
- 身体活動量低下
歩行速度が低下したと感じたら
上記の中で、「3.歩行速度の低下」に焦点を当てますね。
まず、ご自身で歩行速度が遅くなったなと認識できない方もいらっしゃるかと思いますので、一つテストをしてみましょう。
バランス感覚チェック
「ファンクショナルリーチテスト」っていうんですが、次の動作をしてみてください。
その場に立ってみてください。足幅は、まぁバランスがとれる間隔で開きます。両手を前に伸ばして、前に倒れる寸前まで、ぐーっと身体を前に持って行ってください。両手で前の方を触る感じです。
バランスを取る力が落ちていると、怖くて前のめりになれませんね。なるべく遠くに手を持って行けるかどうかが、一つのチェックポイントです。
そして、このときの姿勢もチェックしましょう。腰を曲げて前のめりになっているか、腰はまっすぐで足首を曲げているか、どちらでしょうか。
前者(イラストの左)はお尻が出るような姿勢で、股関節を曲げています。
後者(イラストの右)は足首に角度が出ています。
さあ、あなたはどちらになりましたか。
このとき、お尻が出るように股関節を曲げた人は、歩行速度に要注意です。もしかしたら、高齢者でなくても、該当する方がいらっしゃるかもしれません。
ふくらはぎを鍛えよう
歩行時、足は前に前に進みます(立っているだけでも、わずかながら前に出ています)。このときに前に行くのを後ろから支えてくれるのが、ふくらはぎです。
このふくらはぎを鍛える事で、歩行速度が速くなる可能性がぐんと上がりますので、こまめに取り組んでみてください。
壁に手をついて構いませんので、ゆっくりと踵(かかと)の上げ下げをします。「ゆっくり!」がポイントです。じわじわと上げたり下ろしたりする方が、さくさくと行うより、きつくなるはずです。
ゆっくりつま先立ちをして、5秒キープして、またゆっくりかかとを下ろしてきます。これを3回で1セット。この1セットを1日の中で何回行うかはお任せしますが、できるだけ毎日取り組むことが大切です。一度にたくさんやることより、とにかく続けることで筋力アップにつながるんですね。
歩行は健康のバロメーター
何をするにも、自分の足で歩けるかどうかっていうのは、身体的にも精神的にも健康状態を左右します。また、このブログをご覧いただいているということは、腸活に関心のある方だと思うのですが、腸活としての一番有効な運動は、姿勢よく歩くことなんですね。
どこにでもエレベーターやエスカレーターがあって、筋力低下が否めない若い人も多いです。介護とは関係のない年齢の方も、バランス感覚テストを試してみてください。