便秘や下痢などのお腹の不調がある方が、いくら腸もみを受けても効果を感じられないとしたら、お腹以外の部位に目を向けましょう。
便秘などは腸の調子がおかしいのだと思いがちですが、人間の身体はそんな単純なものではありません。ましてや、お腹を揉んだら便が出るとか、あり得ないです。管が詰まったのとはわけが違います。
私たちが生まれてからずっと身近にあった医療は「西洋医学」で、これはケガを治すのが得意なんですね。悪くなった箇所に治療を施します。足なら足、頭なら頭、お腹ならお腹です。
一方、「東洋医学」は体質改善に向いています。たとえば花粉症とか、冷え性などもこちらの方が得意です。治療としては「なんでここにこんな症状が出たのかな」と全身を観察するところから始まります。
足の調子が悪い原因は腰かもしれないし、頭が痛いのは肩こりからかもしれなくて、お腹の調子が悪いのなら「手足」を観察してみましょう。
便秘解消するためにも手足を温めよう
胃腸の働きを活性させるには、副交感神経を優位にする必要があります。つまり、リラックスした状態です。
夜、リラックスして寝ている間に、翌朝のお通じの準備をしてくれますし、食後は急に動かずにゆっくりしようというのは、消化促進につなげるためです。
交感神経と副交感神経のバランス(=自律神経)が乱れると便秘になるのですが、これって気づきにくいんですね。痛くも痒くもないし、身体が勝手にやってくれていることなので、努力だけで整えるって難しいのが現状です。
腸もみを受けるために仰向けになっているとき、ご本人はリラックスしているつもりでも手足が冷えてませんか。
手足を温めよう
施術ベッドで目を閉じて寝ておられる方の、手足が冷たいことがよくあります。施術ベッドで寝ているのに手足がとても冷たい…これで「自律神経が乱れているのかな」と仮説を立てます。
便秘症状のある方からは「私のお腹は硬いですか?」とか、「便がたまってますか?」を聞かれることがありますが、「お腹じゃないな」と感じる方もおられるのです。
トウソウの神経「交感神経」
交感神経は言い換えると「トウソウの神経」と言われるのですが、どんな字を書くかご存じでしょうか。
「逃走」と「闘争」です。
それぞれのシーンをイメージしてみてください。心臓を早く動かせて、太ももなどの大きな筋肉を使いますよね。手先や足先に血を巡らせるのは優先順位としては低いのですし、リラックス状態とは対極にあるのがわかります。ということは、胃腸がよく働く状態ではない!ということなんですね。
急がば回れ
お腹の不調など、自律神経が乱れているがゆえに不調が出ている方に対して、足元を温めてくださいとか言っても、「なんで足なの?」とか「これ(足元の冷え)はもともと冷え性だから仕方ない」とか思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今までお腹ばかりに焦点をあてていてもよくならなかったのなら、“急がば回れ”です。身体の事を勉強した上でお伝えしている事ですので、手先や足先を温めてみてください。そしてそのためにはリラックスする時間と、リラックスする“思考”が大切です。
腸もみの時間中は、何にも考えずに身を任せて、ぼーっとお過ごしくださいね。